北海道教育大学の授業とタイアップした「五稜郭世界遺産」や「新・博物館構想」への市民意識の喚起をテーマに2025年1月例会を実施しました

北海道教育大学の授業とタイアップした「五稜郭世界遺産」や「新・博物館構想」への市民意識の喚起をテーマに月例会を、1月15日(水) 北海道教育大学函館校15番教室で実施し、会員7名と学生7名が参加しました。
1月例会では、授業「地域文化実践論」の最終まとめとして、学生の発表が次のとおり行われました。
第1班学生発表 タイトル:函館市民と共に「特別史跡五稜郭」を未来へ紡ぐ -五稜郭に関する関心を高め、地域のシンボルを盛り上げよう-
学生は、「五稜郭への人びとの関心の低さ」の問題について、これまでの授業からの想定要因(*1)を考え、アンケ-ト(五稜郭周辺ヒアリング、インタ-ネット)の実施、抽出課題、及び学生たちが実践できる取組について発表を行いました。
*1:“五稜郭の歴史に関する知識が希薄”、“世界遺産登録活動の認知度が低い”、“ボランティア等の周知不足”



アンケ-トから抽出された3つの課題
- 情報発信と認知不足が引き起こす課題
・世界遺産登録活動の認知率が低い:市民は20%しか知らない!
市民の認知率:20%(11/55) 観光客の認知率:3%(1/35)
・五稜郭 木の伐採ボランティア市民認知率が低い:5%(3/55)
⇒上記①と②から情報共有が十分でなく市民の理解や参加意識が低い。 - 観光・地域環境の課題
・タワ-の窓枠間隔が狭く五稜郭が綺麗に撮影できなかった。
・喫煙場所がなく飲食店で喫煙した。・観光客が住民の家の前に違法駐車
⇒観光客と地域住民の共生が必要 - 世界遺産登録への関心と意識の課題
・世界遺産登録:登録したい65%、登録したくない10%、わからない25%
登録したい理由:歴史的な場所や函館がもっと賑わってほしいなど
登録したくない理由:マナ-の悪い観光客が増えるなど
学生が実践できるこれからの取組
・五稜郭でのボランティア活動への積極的参加とSNSによる情報発信
・学生主体のワークショップ開催
⇒学生参加により幅広い世代の市民との意見交流が可能になる。
学生の発表後、学生・会員と発表者との間で、SNSによる情報発信や市民との意見交流等とよる世界遺産登録への関心向上などについて意見交換を行いました。
第2班学生発表 タイトル:「総合ミュ-ジアム」の構想と博物館の課題
学生は、これまでの授業から考えられる課題、アンケ-ト(市既実施の中高生を除く市内大学生が対象)の実施、課題の分析、及び総括について、発表を行いました。



授業(2024年11月 市立博物館を見学して学芸員と意見交換)からの課題
・博物館における収蔵庫不足等
・学芸員や人員そのものの不足
アンケ-トの実施
「博物館の必要性とその理由」、「総合ミュ-ジアム構想の認知度」や「よく使う情報収集媒体」を主な質問としてアンケ-トが実施されました。
課題の分析
- 広報を行う媒体(SNSの活用)
・観光地や施設の情報収集媒体に関する質問(複数回答可で70件の回答)
X(旧ツイッタ-)やインスタグラムのSNS利用者は、それぞれ60%台
テレビやネットニュ-ス等の利用者は、それぞれ20%台とSNSの3/1
⇒「総合ミュージアム」構想についての市民の興味(関心)を促進するには、容易に利用できる媒体での宣伝・広報活動が必須。Xやインスタグラム(SNS)の利活用が最低限必要。そのための運営管理は、SNSの取扱いに習熟した若者と連繋して誰(市民団体or行政など)が行うのか? - 博物館へ向かう動機付け
・博物館に行ってみたいと思ったことはありますか(70件の回答):いいえが72.9%
「いいえ」の理由(複数回答可で55件の回答):目的や興味がない60%
⇒博物館へ行く「きっかけ」を数多く作ったうえでの動機付けが必要。そのため、地域との協働イベントや(市民)参加型の展示等が博物館に求められる。 - 総合ミュ-ジアム構想の知名度
・構想について知っていますか(70件の回答):いいえ94.3%と知名度がほぼゼロ
総括
学生は、まとめとして博物館現場の声から考察される課題(授業からの2つの課題)とアンケ-ト結果分析から考察される課題(課題の分析からの2つの課題(第1・2))を述べて、発表を結びました。
学生の発表後、学生・会員と発表者との間で、SNSの利活用や市民との連携による総合ミュ-ジアム構想の認知度の向上等について意見交換を行いました。
「五稜郭世界遺産」や「新・博物館構想」への市民意識の喚起・向上には、学生発表等の諸課題に対する継続的な対応とその評価が重要です。そのための仕組の構築と幅広い世代の市民・市民団体・行政・企業の連携と協力が不可欠と感じました。